都市農地とまちづくり
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農住組合制度・実績

Q&A


Q20 土地区画整理事業のメリット・デメリットは・・・
A

メリット

すべての土地を面的に総合整備できます
地権者全員による民主的手続きによって事業を進めることができます
公共施設整備について、その受益を地権者に公平に分配できます
既存のコミュニティをよりよい形で維持できます
さまざまな事業目的に対応できることから、その事業財源多様に活用できます
民間活力を最大限に活用できます
他の事業・制度との同時施行や併用が容易です

デメリット

事務手続きに若干時間がかかります
営農継続農地も減歩の対象となります

なおデメリットについては、地区状況に応じた柔軟な対応によって、その軽減を図ることもできます

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Q21 土地区画整理事業を数人共同施行で行なう場合と、土地区画整理組合で施行する場合の違いは・・・
A

 土地区画整理事業は、個人または数人の共同によっても、あるいは土地区画整理組合によっても施行できます。農住組合で土地区画整理事業を行なう場合は、土地区画整理法の規定により、数人共同施行とみなされます。この場合、事業認可に際しては、全員合意が条件とされます。

 また農住組合を同意施行者とみなし、組合地区の一部で地権者の同意を得て、土地区画整理事業を実施することも可能です。

 あるいは農住組合自体が土地区画整理法上の施行者とならず、地区内に土地区画整理組合を設立することによって、そこから事業委託を受けて、事業実施する方法もあります。この場合、税制上の優遇や、2/3以上の同意による事業施行といった土地区画整理組合ならではのメリットが活かせますが、やはり後々のトラブルを考慮して、できるかぎり全員合意のもと事業を進めることが望まれます。

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Q22 土地区画整理事業における業務代行方式とは・・・
A

 業務代行方式とは、専門的ノウハウを持った民間事業者などに、保留地の取得を条件に、実際の事業施行全般を委託すること。この場合、民間事業者のノウハウや資金力をフルに活用でき、事業立上げの際の資金調達や事務手続きなどを円滑に進めることが可能です。

 業務委託契約は、組合設立認可後、早い段階で組合総会における議決を経て締結されますが、その際、土地所有者と業務代行者との意思の疎通を十分に行ない、事後のトラブルが生じないよう配慮してください。

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Q23 農住組合事業と土地区画整理事業の事業計画書の関係は・・・
A

 農住組合の設立認可申請に必要な事業計画書は、農住組合という法人の設立認可に際し、農住組合事業全体の事業基本方針を受けて作成されたものです。初年度に組合としてどのような事業に取組むかを示すものであり▼事業方針▼組織方針▼事業計画(3カ年計画を含む)▼収支計画、などを定めることと規定されています。一方、土地区画整理事業の事業計画書は、あくまで土地区画整理事業を実施するための事業全体を通じての基本的事項を定めたもので▼施行地区▼設計の概要▼事業施行期間▼資金計画、などを定めることと規定されています。

 それぞれの事業計画書は全く性格が異なるものであり、必要とされる時期や計画の精度、様式も異なりますが、関連事項については、できるかぎり内容調整を図っておくことが必要です。

 なお組合員に事業の全体像と方向性を認識してもらうためにも、組合設立以前に、ある程度精度の高い基本計画を策定し、各々の事業計画書に反映させておくことが望ましいでしょう。

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Q24 減歩とは・・・
A

 土地区画整理事業では、道路や公園など公共施設用地と土地区画整理事業にかかる事業費用に充てるための保留地に必要な土地は、土地所有者がその所有する土地を出し合ってまかなう仕組みになっています。これを減歩といいます。一般に公共施設用地のための減歩を公共減歩、保留地のための減歩を保留地減歩、またこれらを合わせて合算減歩あるいは単に減歩と呼んでいます。

 減歩は、事業施行前の土地面積に対する比率で表示され、これを減歩率といいます。また平均減歩率とは、地区全体に対する比率であり、一方、個別の土地の減歩率は、事業施行前後の土地の評価に応じて(増進の度合いに応じて)決定されます。

 減歩率の決定は、事業計画立案の際の大きな課題の一つ。公共用地はどの程度増加するか、保留地は必要とされる事業資金額や土地の利用価値から勘案してどのくらいが妥当か、などを考慮したうえで、地権者の協力が得られうる値と事業採算が成立しうる値との間で、まさしくギリギリの接点を見つけ出す作業が必要とされます。

減歩の概念図

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Q25 保留地の位置や処分価格の決定方法は・・・
A

 保留地処分金は土地区画整理事業の重要な財源となるため、事業終了までに必要とされる工事期間や資金量を勘案したうえで、処分すべき保留地の地積・処分単価・年次などを検討し、処分年次計画を作成しておきましょう。その際、周辺の地価水準や需要動向などを十分に考慮しておくことが重要です。

 また保留地は、処分後すぐに施設・住宅建設が行なわれるケースが多く、地区の市街化促進はもとより、まちづくりにとっても役立つよう事前に利用目的を考慮して、その位置を設定することが望まれます。

 なお保留地処分にあたっては、適正な予定価格を設定して申込みを受付け、抽選によって購入者を決定する方法が一般的になっています。

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Q26 保留地が計画どおり処分できなかった場合は・・・
A

 保留地が計画どおり処分できず、保留地処分金が事業計画で定められた額を下回ることが予想される場合には、原則として▼事業計画を変更し、公共施設の整備水準を落とす▼保留地の処分単価を下げて面積を増やす、などの工夫をして、収入と支出における差額を調整せねばなりません。

 とはいえ事業収束段階になると、換地や工事の変更が困難になり、できるかぎり早期に処分見通しや資金計画のチェックをしておくことが望まれます。なおそうした対応が困難な場合は、規約などを変更して欠損相当額を各組合員から徴収する方法もあります。また逆に、保留地処分金が上回ることが見込まれる場合は、早目に地区内における施設整備の水準を上げるなど、事業計画を変更することによって差額調整を図るのが望ましいでしょう。

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Q27 保留地処分に対して課税される?
A

 農住組合が保留地を売却した場合、保留地処分金額から土地区画整理事業全体に要した事業費控除した金額が収益とみなされ、課税対象となります。

 したがって保留地が事業費に見合う価格で譲渡されるかぎり譲渡利益は生じることもなく、税負担も発生しませんが、そのことが明確に説明できるよう適切な経理処理が行なわれていなければ、課税される場合もあり、十分に注意してください。

 なお土地区画整理事業に関わる経理については通常、事業期間中に事業費を経費とせず、保留地処分までに要した費用を保留地の取得価格として資産計上していき、保留地売却時にその総計を保留地取得原価として売却額から差し引き、差益がでないよう経理・税務処理を行なってください。

 また組合設立にあたっては、青色法人としての手続きを行ない、欠損金の繰越控除が行なえるようにしておけば、区画整理以外の事業で収入があった場合にも、5年間の損金の繰越控除を行なうことにより、組合としての所得を発生させないようにすることができます。

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Q28 保留地に、農住組合が上物を建てて分譲できる?
A

 農住組合が土地区画整理事業の施行者でない場合(業務代行を含む)は、組合が土地区画整理事業施行者から保留地を購入し、上物を建て、分譲することとなり、特に問題はありません。一方、農住組合が土地区画整理事業の施行者の場合は、保留地売買と住宅の建設・分譲に関して土地区画整理事業施行者である農住組合と、農住組合事業施行者である農住組合との経理区分が極めて煩雑になるという問題点があります。また換地処分前に保留地を分譲する場合、土地購入者は換地処分後に初めて土地所有権を得ることとなり、それまでの期間は、たとえば住宅ローン設定時などにおいて、抵当権を設定できませんので、予め金融機関と十分な協議を行なっておくことが望まれます。

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Q29 目的換地を行なう場合の留意点は・・・
A

 農住組合の特色は、組合員相互の話合いを通じて、宅地などへ転換すべき部分と、営農地などとして残すべき部分とを決め、各々一団の区域として集約・整備できる点にあります。そこでまず組合員の長期的な生活設計や土地活用に関する意向調査や個別相談などを行ない、その結果に基づき土地利用計画を作成せねばなりません。

 具体的区域の設定にあたっては、用排水汚染や農薬被害、日照問題などのトラブルが発生しないよう、周辺との土地利用の調和に配慮することが重要です。こうした土地利用計画に基づいて、早めに換地設計の概要を検討しておくことが望まれます。なお土地区画整理事業において換地を定める場合は、従前の土地の条件との照応原則としています。そこでこの原則によらない目的換地を行なう場合には、換地設計の際の基準設定にあたって、予め例外の根拠を明示することにより、その後の換地計画における合理性を担保しておくことが必要です。

目的換地図

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Q30 宅地造成にあたって、保留地処分による入金があるまで、資金はどこから調達すれば・・・
A

 土地区画整理事業に要する費用は、原則として施行者負担。その事業費財源には、保留地処分金を充てるほか補助金・負担金・貸付金などの制度が用意されており、これらを有効に活用しましょう。

 事業費財源とその支出は、通常、事業計画上一致するよう配慮されています。しかし事業費財源のうち最も大きな割合を占める保留地処分金は、事業の最終段階にいたって初めて入手できるものであり、事業着手の時点から必要とされる経費の財源確保のためには、つなぎ資金が必要となります。こうしたつなぎ資金は、通常、JAなどからの貸付けによりますが、地区の規模やその他の要件が適合すれば、有利な融資制度として、▼組合など土地区画整理資金貸付(無利子貸付金)▼住宅金融公庫宅地造成融資があります。

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Q31 造成工事発注の方法とその注意点は・・・
A

 工事発注の主な方法は、以下のとおり。


(1) 入札
指名入札−数社を指名して見積入札
一般競争入札−参加した業者で見積入札
(2) 見積合わせ
数社を指名して見積書を提出させ、内容を検討して業者決定する
(3) 随意契約(随契)
特定の業者と協議して決定する
(4) 特命随意契約
業者を決定して、一任する(発注金額については、ほぼ指定金額による)

なお国庫補助を受けて行なう工事については、(1)(または事情により(3))で行なう必要があります

 通常、入札にあたっては、見積総額の高低で業者決定されるのに対して、見積合せの場合は、工事内容についても併せて検討を行なったうえで、業者決定されます。

 これらの発注方法のうち、指名競争入札が一般的ですが、補助対象工事については、その他の工事と区分して発注を行なってください。

 また発注の際、コスト増にはなりますが、予め営農継続農地(水田については用水路も含む)については表土作業(土地改良事業の手法による)の指示を、さらに事後のトラブルを未然に防止するため、測量杭(地区界)の工事中における保全・管理作業についても明示しておくことが必要です。

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Q32 正当な理由なしに住宅建設が実施されなかった場合の措置や罰則は・・・
A

 住宅建設・賃貸、その他の管理または譲渡は、農住組合の必須事業です(法第7条第1項第2号)。このため組合が正当な理由もなく住宅建設を実施しない場合は、都道府県知事から報告の徴収や検査がなされ、期間を定めて必要な措置を執るよう命じられます。組合がこの命令に従わない場合は、期間を定めて業務停止役員改選を命じられます(法第81〜83条)。

しかしながら、保留地の処分によりその要件が一応満たされてもいます。

 また土地の区画形質変更などの事業実施後、その土地が更地のまま放置されないよう、組合員に対しても住宅建設などの速やかな実施が責務として課せられています(法第87条)。

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Q33 組合整備による道路や公園は、市に帰属する?
A

 土地区画整理事業によって整備された道路や公園などの公共施設は、原則として換地処分公告のあった日の翌日において市町村に帰属し、管理の引継ぎが行なわれます(土地区画整理法第106条第1項)。

 また換地処分公告以前でも、公共施設の工事が完了していれば、管理者への引継ぎが可能です(同条第2項)。

 なお公共施設引継ぎの際の、資料作成や現地立会いなどについては、あらかじめ関係する管理者と十分に調整を図っておくことが必要です。

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Q34 実際の土地と登記簿上の地積が違う場合、換地の基準となる地積はどちら?
A

 換地の基準となる従前の土地の地積(基準地積)を決定する方法については、土地区画整理事業規約などで定めることになっています。その主な方法は、次のとおり。

(1)土地登記簿による方法
原則として、土地登記簿上の地積を基準地積とし、万一、登記簿地積と実測地積に差が認められる場合は、一定期間内に土地所有者からの申請を受け、施行者が確認したものにかぎっては、その地積を基準地積とします。

(2)測量増減地積を土地登記簿で按分する方法
同上の手法によって基準地積を決定したうえで、その他の土地については、公共用地を除く区域の地積を実測し、登記簿地積との差をその区域内の登記簿地積で按分し、更正した地積を基準地積とします。

(3)各筆の実測地積による方法
施行者が各筆の実測を行ない、その実測地積を基準地積とします。

以上のうち、通常、(2)が最も一般的な方法として採用されています。

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Q35 換地計画とは・・・
A

 土地区画整理事業の工事終了後は、遅滞なく従前の土地に関する権利を換地に移行するとともに、清算金などに関する権利義務を確定するための換地処分をしなければなりません。この換地処分の基礎となる事項を定めたものが換地計画であり、その内容は次のとおり。

(1) 換地設計
従前の土地と換地の位置・形状の関係を示した図面
(2) 各筆換地明細
従前の土地と換地の所在・地番・地目・地積などの明細書
(3) 各筆各権利別清算金明細
従前の土地と換地の権利価格及び清算金と各筆各権利別に表示した明細書
(4) 保留地その他特別の定めをする土地の明細

 換地計画は、施行者が作成し、知事(政令指定市長、中核市長)の認可を受けなければなりませんが、その際、換地計画に関する同意書(組合施行の場合は、議決や意見書の処理経過などの書類)が必要となります。

 このように換地とは、工事終了後に行なわれる換地処分によって最終的に従前の宅地とみなされる土地を意味し、一方、仮換地とは、従前の宅地に代わって仮に使用収益することができる宅地として、施行者から指定された土地をいいます。ただし仮換地の場合、従前の土地の権利が仮換地に移動したわけではなく、仮換地指定後に土地を売買する場合は、当該仮換地に対応する従前地が売買されることになります。なお仮換地は、将来そのまま換地として定められるのが一般的です。

換地計画図

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Q36 清算金はどの時点を基準とし、どう決める?
A

 一般的に換地設計の際、すべての換地を過不足なく配置することは、技術的に困難であり、ある程度の不均衡が生じることはやむを得ません。こうした不均衡を是正するために徴収・交付する費用を清算金といいます。

 清算金とは、工事概成時の地価公示価格、固定資産税課税標準価格、相続税財産課税標準価格などを勘案して、施行前後の宅地所有権や借地権などの価格を評価したうえで算定されます。

 知事の認可によって換地計画が決定し、同時に清算金も決定すると、換地処分の通知によって各権利者に通知されます。

 清算金は、換地処分公告日付の地権者を対象としてその翌日に確定し、徴収・交付が行なわれます。つまり換地処分公告日の地権者にあくまで権利義務があり、たとえ公告日以降に地権者の移動があっても、新地権者には権利義務が継承されません。ただし当事者間で清算金の権利義務に関する特約を締結し、施行者の承諾を得た場合は、このかぎりではありません。

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Q37 開発行為による事業の流れは・・・
A

 一般に、市街化区域内において土地区画整理事業などによらない1000平方メートル以上(3大都市圏の一部では500平方メートル以上。その他地域でも都道府県市によっては、これ以下の場合も)の開発行為を行なう場合は、事前に都道府県知事(または市長)から都市計画法に基づく許可(開発許可)を受けなければなりません。

 開発行為による事業の大まかな流れは次頁のとおりです。また都道府県市の開発指導要綱など、別途定めがありますので、都道府県市の担当部局と事前に調整しておくことが必要です。

なおこの場合の開発行為とは、土地の区画・形状または性質の変更を意味します。

開発行為による事業の流れ

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