都市農地とまちづくり
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農住組合制度・実績

Q&A


Q1 土地利用計画策定の基準とは・・・
A

 農住組合が事業を行なう場合には、それぞれの事業ごとの基準が適用されるので、あらかじめそれらの基準に適合する土地利用計画としておくことが必要です。つまり土地区画整理事業を行なう場合には、土地区画整理法による土地区画整理事業の設計基準が、開発行為を行なう場合には、都市計画法による開発行為の許可基準が、道路や公園の設計などに対して適用されます。またその後の建築行為に対しては、都市計画法・建築基準法に基づく土地利用の用途・建ぺい率・容積率などの規制があります。この他に市町村が独自に開発指導要綱を定めているケースも多く、まずどのような条件が課せられるのか、事前に市町村の開発許可担当部局に確認しておくことが必要です。

 さらに面整備事業にあたり、土地区画整理事業などの補助金を受けようとする場合は、事業の規模、公共施設の計画、区域外の主要道路の取付きなどについて、一定の要件を満たすことが必要ですので、同様に市町村の区画整理担当部局に確認しておきましょう。

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Q2 土地利用計画策定の留意点とは・・・
A

 土地利用計画策定上の留意点としては、以下の内容があげられます。まず計画対象地がどのような自然的・社会的条件にあるのかを事前に十分把握することが必要です。

自然的条件としては
地形・日照・植生・水文などの状況を把握し、宅地や公園などとして利用するうえでの適性をチェックする

社会的条件としては
都市計画や総合整備計画などの、上位計画における地区の位置づけと土地利用規制の状況を確認する
商業施設や公共・公益施設の整備状況、交通条件など、周辺地区も含めた地区の市街地としての整備課題を把握する
地区の立地条件及び計画地の住宅・宅地の質と量に対する市場の需要状況を十分に把握する

さらに組合員の土地利用意向について
組合員の長期的な土地利用意向を詳細に把握する

これらの条件を総合的に勘案して、合理的な土地利用計画を立案することとし、具体的には

目的換地などにより宅地などに転換する地区と営農を継続する地区に整序を図る
住宅地区については、住宅の形態に応じて街区形態・道路構造・公共施設容量・駐車場配置などを計画する
営農地区については、作目に応じた街区形態・用排水施設構造などを検討する
必要とされる公共施設用地及び事業採算性から、保留地と減歩のバランスを図る
周辺住民に対しても、その意向把握と調整を十分に図る

 土地利用計画は、まちづくり事業の基本。適切な計画をまとめることができるかどうかが、後々の土地の使い勝手はもとより、住宅地としての魅力(商品価値)など、将来の賃貸住宅経営や農業経営を大きく左右すると言っても過言ではありません。したがって土地利用計画の策定にあたっては、まず作業の節目ごとにきめ細かく組合員の意向調査を行ない、組合員個人の土地利用意向と全体事業との調和を図ること。そして地方公共団体の関係部局と十分に連絡調整を行なうよう留意しましょう。さらに都市農地活用アドバイザー制度など、専門家のアドバイスを積極的に受けるよう心がけましょう。

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Q3 土地利用計画策定にあたり、土地所有者の意向はどう把握し、計画に反映すれば・・・
A

 土地利用計画の策定にあたっては、組合員の長期的な生活設計をいかに具体的に盛り込んでいくかが重要なポイントです。

 計画策定当初の段階では、組合員の土地利用の意向は曖昧なケースが多く、計画の具体的な検討過程を通じて徐々に固まっていくものだといえるでしょう。そこで土地利用計画策定当初はもとより、原案が固まった段階においてもその内容を提示したうえで、再度意向調査を行なうなどして、計画の修正を図っていくことが望まれます。

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Q4 農と住の調和のとれた計画とは・・・
A

 農と住の調和のとれた計画とは、計画地が農地であることを最大限に活かしつつ、農地所有者にとっても、住む人にとっても、また周辺の住民にとっても、住みよいまちづくりを行なう計画といえます。このためには、都市内の農地がもつさまざまな機能を十分に考えなければなりません。特に生産緑地など営農継続農地の果たす役割をいかに再評価するかが、最も重要なポイントとなるでしょう。たとえば農地を都市のなかの緑地として捉え、景観上の魅力づくりを考えるとか、朝市広場の整備や住民による収穫体験会など、農地を活かしたイベントを開催するといった新たな取組みもいいでしょう。

 また長期的に残す農地がない場合でも、当面農地として利用する土地があれば、景観・環境上の魅力として活かしたり、あるいは市民農園として整備することによって農園付き住宅を企画することや、緑化材として園芸作物の栽培を行なうことなども十分に考えられます。

 こうした農地を積極的に活用したまちづくりに取組むことにより、できあがるまちに大きな付加価値が期待され、これによって住宅・宅地市場で競争力を得ることはもとより、住民や周辺住民に愛される、生き生きとしたまちに育っていくこととなるのです。ですから本事業においては、たとえば目的換地などの手法によって営農継続農地と住宅地を明確に区分し、農業経営と良好な住宅宅地の供給が両立(共存)しうる土地利用計画を策定すること、そして農家が農地を活用して自ら行なうまちづくり事業の特徴を活かすことが極めて重要となってくるのです。

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Q5 都市計画や農振計画など上位計画との整合を図るには・・・
A

 土地利用計画の策定にあたっては、まず組合地区が、市町村の長期的構想のなかで、どのような位置づけにあるのかを予め十分に検討せねばなりません。

 このため土地利用計画策定の当初段階から、市町村の都市計画部局や農政部局に積極的に相談し、都市計画などの上位計画に適合した土地利用計画となるよう、調整することが必要です。

 また市町村では、市街地開発について、地区ごとに優先順位をつけている場合もあり、区画整理事業などにあたって財政的支援を得られるかどうか、同様に担当部局との事前調整を図っておくことも大切です。

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Q6 生産緑地の集合化はできる?
A

 農業経営と良好な住宅宅地の両立のためには、生産緑地などの営農継続農地の集約化を図ることが大変重要となります。

特に生産緑地については、農住組合の事業を通じて積極的に集合化を図ることが望まれます。

 なお、相続税納税猶予の特例措置上の扱いとして、区画整理事業における生産緑地の減歩については、従前の農地と同一(転用していない)とみなされます。

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Q7 基盤整備事業実施により生産緑地が500平方メートル以下になる場合は、どうすれば・・・
A

 減歩により、生産緑地の面積が指定要件である500平方メートルを下回るおそれがある場合には、(1)地区内で同一地権者の宅地化農地があるときは、減歩の振替えなどによって、生産緑地の規模を確保する(2)地区内の、他の地権者の営農継続農地と集約化することによって、一体の農地として生産緑地の指定を受ける(3)飛び農地の制度を活用し、地区外の生産緑地・営農継続地などを地区内に集合化して、一体の農地として生産緑地指定を受ける(4)地区外の隣接する生産緑地及び営農継続農地と接するよう生産緑地の換地を行ない、一体の農地として生産緑地指定を受ける、などの方策によってできるかぎり500平方メートル以上の面積を確保するよう努力してください。

 ただし、こうした様々の方策を検討しても、500平方メートル以上の面積が確保できない場合には、減歩手法の再検討も含め、市町村の担当部局と十分に相談し、その指導を受けてください。

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Q8 基盤整備事業実施による生産緑地の都市計画変更の手続きは、いつ、どうすれば・・・
A

 生産緑地の都市計画変更の手続きについては、当面、生産緑地法の行為の許可を受けたうえで、まず基盤整備事業を先行させ、換地後に都市計画変更の手続きを行なうのが一般的です。

 いずれにせよ都市計画変更の手続きは、市町村の担当部局が行なうことになりますので、あらかじめ担当部局と十分に調整を図ることが重要です。

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Q9 住宅・宅地のニーズにあった良好なまちづくりを進める場合の留意点は・・・
A

 昨今の賃貸住宅や宅地のマーケット環境は買い手市場状況にあり、いかに入居者や宅地購入者が満足できる条件を整備できるかによって事業採算性は大きく左右されてしまいます。つまり組合員が、本事業によって安定した生活設計を描くためには、何よりもまず質の高い居住環境が整備された住宅宅地を適正な価格で提供することが強く求められます。

 具体的には▼賃貸(集合)住宅、分譲住宅または宅地、営農地のそれぞれを目的換地などにより計画的に配置し、良好な環境を確保すること▼地区計画・建築協定・緑化協定などを活かして、建築や外構などのデザイン統一を図り、美しいまちなみを実現すること▼農園付き住宅や営農地を活かした農業体験イベントなどの企画によって、物件の付加価値を高めること▼賃貸住宅の経営や住宅宅地の分譲を協同で行なうことによって、経営規模の拡大を図り、経営の安定化と信用の強化を図ること、などが考えられます。

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