日野市・日野用水土地改良区 | 令和3年3月
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農業者と市民の協働による「水都日野」の水田保全の取組事例
- 小学生の田んぼ体験教室
取組みの概要
水田(稲作)は単位面積当たりの収益性が低いため、一定面積以上でないと、都市部においては営農継続を前提とした保全が難しい。そうした中、相続によって生産緑地地区が解除されたことを契機に、自治体が借りて農家との協力によって保全されている水田がある。 東京都日野市では貴重な農地・農業を守るとともに、農業を永続的に育成するため、農業基本条例を1998(平成10)年に制定し、「用水守」制度など、農家と市民の協働による水田や用水路の保全への取り組みを進めてきた。さらに、2013(平成25)年の市政施行50周年を記念し、策定したグランドデザインの中で将来の姿を「水都日野」と定め、水田・農業用水路を水・緑資源の中心要素として「農の拠点」、「農の骨格軸」の中に位置付け、水田・用水路の存続や市民への啓発事業に取り組んでいる。 対象の水田は2015(平成27)年の相続発生の際に、農地の大半が相続税支払いのため宅地に転用される中で、地主が「水田を残したい」との思いがあり、幸いにも一部が残された。 市には土地買取財源がなかったため、地主との3年更新の条件で農地法第3条による貸借(地主には固定資産税の減免)を行うこととなった。権利設定の目的は、市民と農家の協働水田のモデルを作ることであり、これを「公用または公共の用」として申請した。その結果、日野用水土地改良区の農家の指導を受ける形で、まだ田んぼの体験教室を行っていなかった日野第三小学校(5年生)を対象に2015(平成27)年に実施したのが始まりである(※日野市では、多くの小学校で田んぼの体験教室を行っている)。 5年経った2020(令和2)年現在でも、小学校の総合学習として、もみふり、もみ出し、田植、網掛け、稲刈り及び脱穀と一連のお米作り体験が行われている。 |
「水都日野」の水路網と水田の位置 もみふり 田植 網掛け |
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田んぼの概要
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水田保全に強い思いのある地元農業者によるサポート体制とその課題
現在、対象の水田では、地元の土地改良区(農家)の有志が、「水路を守る(環境を守る)には貴重な水田を残したい」という強い思いから、ボランティアで水田の管理・運営を担っているものの、小学生の体験学習をサポートする基礎作業や水管理等、日常的な作業を継続的に行う体制づくりが今後の課題となっている。 |
都市農業の機能発揮
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団体概要 | |
実施団体 | 日野市・日野用水土地改良区 |
活動地域 | 東京都日野市 |
問い合わせ | 日野市役所 産業スポーツ部 都市農業振興課 東京都日野市神明1-12-1 電話:042-514-8477 |
ホームページ | https://www.city.hino.lg.jp/shisei/profile/soshiki/sangyosports/1004702.html |